会長 斎藤 保

 このたびロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会会長を拝命いたしました。ロボティクスを取り巻く環境が大きな転換期を迎えている今、本役割を担うことに強い使命感と責任を抱いております。現在、我が国では2026年3月に策定された政府方針である「AIロボティクス戦略」のもと、AIとロボットが融合したフィジカルAIを中核に据えた新たな産業基盤の構築が進められており、ロボティクスは単なる自動化技術から、社会課題の解決と持続的な価値創出を担う基盤技術へと飛躍が期待されております。

 

 そのために重要なのは、わが国のあらゆるビジネス、生活の現場に蓄積されてきた多様なデータの存在であります。製造、物流、建設、インフラ、医療・介護といった幅広い分野において、長年にわたり培われてきた運用データや現場知識は、日本の強みとなりうる貴重な資産です。これらを個社・個別領域に閉じるのではなく、適切なルールと信頼のもとで連携共有させていくことで、日本の強みを再生し、フィジカルAIの高度化と社会実装を加速する原動力としていかなければなりません。データを起点とした産業横断の価値創造により、これまでにない高度な知能化と実装の可能性が切り拓かれていきます。

 

 こうした中、政府を中心に、AI基盤モデル、データプラットフォーム、ロボットソフトウェアの共創基盤などの研究・整備が進み、企業、大学、産業技術総合研究所はじめとする研究機関、スタートアップやコンサルティング企業が連携するコンソーシアム型の推進体制が形成されています。多様な主体が役割を分担しながら、現場実装まで到達するこの構造こそが、日本の競争力の源泉であります。

 

 その中でRRIに求められる重要な使命は、価値あるデータの連携共有を加速し、「あらゆる現場でロボットが活用される社会」を実現です。そのためには、個々の技術開発にとどまらず、ロボット導入を支える基盤の整理、標準化、さらには企業間で共有すべき協調領域の明確化が不可欠です。競争と協調のバランスを取りながら、業界を横断した連携を促進し、導入コストの低減やスケール展開を実現する環境づくりが重要となります。

 

 RRIはこれまで、産学官連携のもとで技術開発と社会実装をつなぐ役割を担ってまいりました。今後はその機能をさらに強化し、ロボット・産業IoTの社会実装を一層前進させてまいります。また、人手不足や高齢化、インフラ維持といった我が国の課題に対し、ロボティクスを通じた持続可能な解決策を提示し、地域社会の課題解決、国際競争力の向上にも貢献していく所存です。

 

 関係各位とともに、開かれた連携と信頼を礎に、新たな価値創造に挑戦してまいります。引き続きご理解とご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。