会長挨拶

 ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI)会長を拝命し、身の引き締まる思いです。これまでの取組みを引き続き力強く前進させるため、微力ながら全力で取組んで参りたいと存じます。

  成長戦略の一環として政府が掲げた「ロボットによる新たな産業革命」のアクションプラン「ロボット新戦略」に基づき、2015年5月に発足したRRIは8年目を迎えます。この7年間で順調に発展し、発足時226だった会員数も2022年6月時点では427まで増加しました。産業IoT領域における取組みとして、ドイツのインダストリー4.0推進母体をはじめ、国内工業会など関係団体との協力関係を築き、産業セキュリティ対策、ビジネスモデル構築、人材育成など世界共通の課題解決に向けた議論を進めています。また、国際電気標準会議スマート製造システム委員会国内事務局を務め、国際標準化活動も行っております。

  日本がめざすべき未来社会の姿として初めて政府から提唱されたSociety5.0は、サイバーとフィジカル空間を高度融合させたシステムにより、経済発展と社会課題の解決を両立する人間中心の社会です。Society5.0の社会実装の実現に向け、フォーカスを絞りながら2030年のあるべき社会像を構想し、そこから「バックキャスト」して実現までの過程における課題や施策を考えることが求められます。この過程において、RRIは設立母体である日本機械工業連合会と引き続き密接に連携しながらIoTとロボットによりデジタル・ネットワーク時代に対応したモノづくりのあり方を追求すると同時に、製造業および非製造業の更なるデジタル化、競争力向上と生産性改革を促進していく大きな任務があると感じております。

  他方で、近年のメタバースやweb3といった新技術の発展に伴い、サイバーとフィジカルの空間が結びつく未来社会において、リアルタイムなデータのやりとりや、オペレーションを行うロボットは不可欠になるため、新たな可能性やそれに伴う課題についても考えていくことが必要です。加えて、Society5.0を日本で実現していくためにはデータ基盤をいかに構築していくかが肝要であり、データの保有や利活用、ベンチャー企業も含めてどのようにイノベーションを起こすかという視点も大切です。

 RRIは多種多様な企業の集合体のため競争領域もありますが、今後は協調領域について議論しながら連携を図り、グローバル競争に向けた価値創出にリソースを集中することが日本全体の競争力強化のために急務と考えます。これまで大宮前会長が築かれた基盤を活用しながら、将来に向けたRRIの発展に向けて全力を尽くす所存ですので引き続きご支援を賜りますことをお願い申し上げます。

会長  東原 敏昭
2022年